いつでもヤレる元カノ

私たちが仲良くなったのも
お互いに野球好きだったことが大きかった。

 

野球好きなもののプロ野球しか観に行ったことがなかった私を、真弘が社会人野球や大学野球に連れ出してくれ、面白さを教えてくれた。

 

付き合っている時も2人でプロ・アマ問わずよく野球観戦にでかけていた。

 

 

 

「あー、あのセンターのバックホーム気持ちよかった!」

 

別れてから初めて真弘に会った緊張感も試合に夢中になっているうちに忘れ、試合後いつものように、2人で飲みに来ていた。

 

「いや、俺は9回のサードライナーの方が興奮したな。フィールドシート最高だね」

 

いい試合を観れた高揚感もあり、2人ともビールがすすんだ。
トイレにいくついでにスマホの画面を確認すると、そろそろ終電の時間。

 

 

「真弘―、時間やばいよ。そろそろ帰ろ」

 

 

声をかけ、ちょっとふら付いた足取りで店を出た。

 

 

「咲季、フラフラしてんじゃん」

 

言いながら繋がれた手。

 

「ん?」と思いながらも、

 

あったかい真弘の手に嬉しくなって、思わずぎゅっと握り返してしまった。
急に真弘が立ち止まって、じっと私の顔を見てきた。

 

どうしたのかと思い、首をかしげると真弘の口唇が降りてきた。

 

呆然としていると、何度も何度も優しく口唇が重なり下唇を軽く噛んできた。

 

これからキスが深くなる、その合図。

 

 

そこでようやく我に返った。

 

「ちょ、ダメ。ダメだって。私たち別れたんじゃなかったけ?」
真弘を押し返しながら言うと

 

「いや?」
私の頬を両手で包み込みながら、悲しそうな瞳で問いかけてきた。

 

ダメ―
そう思っても、その瞳を見て思わず首を横に振ってしまった。

 

そんな私の反応を見て
もう1度柔らかく口唇を合わせると、何も言わずに私の手を引いて歩きだした。

 

「ごめん、我慢できない」

 

入ったホテルのエレベーターが閉まるなり、深い口づけがふってきた。

 

 

もう、何も考えられなかった。

 

 

 

 

真弘の口唇も、舌も、手も

 

私以上に私を知り尽くしていて

 

ただただ

 

真弘から与えられる熱に浮かされるだけだった。