新たな出会い

「はっ!?ばかじゃないの!?」

 

「うん、ほんと自分でもそう思う」

 

亜紀に罵られても、何も言い返せない自分が情けなかった。

 

 

 

あれから何度も真弘の熱に浮かされ、気付けば朝だった。

 

土曜休みの私と違って仕事のある真弘は

 

「1回家帰ってる時間ないやーだるい。またなー」

 

軽く手を振って会社に向かっていった。
「完全に『いつでもヤれる元カノ』のポジションだね」

 

やっぱりそうだよね、と思いながらカウンターに突っ伏していた。

 

家に帰って軽く寝てみたものの、目が覚めたら強烈な自己嫌悪に襲われ、いてもたってもいられずに、亜紀を呼び出した。

 

「でも顔みたら、やっぱり好きーって思っちゃったんだもん」

 

「咲季って仕事とか普段は男前なのに、なんで男のことになると、プライドなくなるの」

 

「なんでだろ、もう自分がヤダ」

 

涙目になる私に、とにかく飲みなさいよという風にバドワイザーを押し付けてきた。

 

「こんな水みたいなのじゃなくて、ちゃんとしたビール飲みたい」

 

呟くと

 

「贅沢言わないの。こんな真昼間のカフェにあるわけないでしょ」

 

亜紀にギロリと睨まれた。
ますます小さくなっていると、スマホがなった。

 

「休みなのに、ごめん。これから、リアンの企画でお願いしたいカメラマンと会えることになったんだけど、咲季ちゃんも来れるかな」

 

岡田さんから仕事の話だった。

 

デザイナーさんやカメラマンさんは土日関係なく動いている人が多いので、こうやって休みの日にも連絡がくのはよくあること。

 

とっさに頭を切り替えて

 

「どこ行けばいいですか?」聞くと

 

「17時に神宮前。なかなかスケジュールとれない人だから、よかった。―じゃあ、あとで」

 

待ち合わせ場所を決めて電話を切った。

 

 

「亜紀、呼び出しといてごめん」

 

「仕事なんでしょ。さっきの情けない顔から、一気にいい顔になったよ。そっちのがいいよ。あんな男のことなんか考えずに、仕事してきな」

 

優しく送り出してくれた。

 

「陽、つかまって良かったよ」

 

そう嬉しそうに話す森さんと岡田さんの3人で向かったのは、今回お願いしたいカメラマンさんの事務所であるマンションの1室。

 

森さんとは同じ年で、新人の頃から一緒に仕事した仲とのこと。

 

「悪いな、今日の今日で来てもらって」

 

ドアを開けながらそう話すその人は、私を見つけて「あれ?」という顔をした。

 

「初めまして、中村咲季です。岡田さんの下で勉強させてもらってます」

 

背の高い岡田さんよりも上にある顔を見上げながら、挨拶をすると

 

 

「あぁ、営業さん?珍しいね、岡田んとこに、女の子なんて」

 

陽さんは名刺を私に手渡しながら言った。